試験方法
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概要
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ゴム工業の進歩はこの十年間とくに著しい.新種合成ゴムの開発と応用, これにともなう副資材の開発および加工技術の進歩など, 従来われわれが不可能と思われたことが, ぞくぞく実現されている状態である.試験の分野でも当然これらに対応して, 新しい試験法も開発され, 規格も整備されてきた.とくにレオロジーの進歩にともなって, 未加硫ゴムの粘弾性と加工性の関連, また加硫状態を容易に追究しうるキュアーメータの進歩, 加硫ゴムの応力緩和, クリープ現象の究明, 高速引張試験の開発, 疲労や劣化の機構究明と試験法の進歩など, 目をみはるような進歩がみられた.しかし試験法の立場は物性研究の他に, 特に再現性という大きな問題があり, そのためにはじみな検討が付加されなければならない.すなわち物性上意味のある試験であって, かつ容易に再現できるものが好ましい.後者を重視するあまり, 前者をある程度犠牲にしなければならないことも起こってくる.本邦ではゴム工業技術員会31分科会がJIS K 6301を中心に, ゴム試験法を検討している、最近10年間の業績をみると, 各種キュアーメータの比較と現状, 押出機ガーベイダイによる押出性の調査検討, 試験ロールの現状および標準, ムーニー粘度計の再現性検討, 加硫ゴム引張試験片の形状寸法の調査研究, オゾン劣化試験の標準化, スプリングかたさ試験機の基礎研究と新規C形の開発, 屈曲試験の検討などのほか実に基礎的な調査検討を数多く行なっており, 随時日本ゴム協会誌上に発表するとともに日本工業規格の改訂につとめている.ただ筆者らの最も残念とすることは, 国際標準化機構ISOに積極的に参加して本邦の意見を述べるといった機会に恵まれていない点である。<BR>ここではゴム試験法を本邦の現状に中心をおき, まとめたが, 物性研究のための新しい試験法などについては紹介にとどめたものも多く, その点あらかじめおことわりしたい.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文