加硫ゴムから得られるX線小角散乱ピークの解釈

概要

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加硫ゴムから得られるX線小角散乱ピークが何から生じるかについて詳細に調べた. 加硫ゴムに種々の処理(膨潤, 延伸収縮, 熱処理, 抽出)をほどこしたときのX線小角散乱ピークの変化を調べた. 膨潤処理においては, ピークの位置に変化はない. 延伸収縮処理によりピークに配向変化が生じるが, ピークの位置に変化はない. 熱処理によりピークは消失する. 抽出処理によりピークは消失し, 抽出物からピークが得られる. ゴムを除いた配合剤の加熱によってもピークは現れる. 抽出物の解析結果を合わせ考えることにより, 加硫ゴムから得られるX線小角散乱ピークは, 基本がステアリン酸亜鉛である加硫反応生成物から生じるものであり, 架橋そのものに直接関係するものではないことが明らかとなつた. これにより, このピークをもってその存在をサポートされている"加硫ゴムの不均質構造モデル"における"B相(集団架橋相)"については, 再考を要するものと思われる.
社団法人日本ゴム協会の論文