不溶性イオウの熱転移機構に関する考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CS2-不溶性イオウの特異な熱転移現象について一つの仮説を建て, それに基いて市販の不溶性イオウに関する熱転移実験結果を解析し, 次のような所見を得た. 不溶性イオウには多くの形態が存在しそれらが逐次反応機構に従って段階的に転移し最後に可溶性イオウに至って安定する. 各段階における転移式は一次反応式を満足し, その速度係数は段階的に大きくなる. 不溶性イオウ市販品の熱安定性の差は, その中に含まれる不溶性イオウの形態とその構成比率の差による. 熱転移速度係数の温度依存性はアルレニウスの式に合致し, その活性化エネルギーは約80kcal/molとなり, Seheele らの求めたS-8リングの開環に関する35kcal/molより遙かに大きくなったが, これは実験温度, イオウの形態, およびゴムの共存の有無の差に原因があるものと思われる. 安定剤の混在は活性化エネルギーを大きくするが, これについてはさらに検討する必要があろう.
著者
関連論文
- MBTHHにより呈色後ペーパークロマトグラフィーを用いるアミン系老化防止剤の識別法
- パインタールの組成と、それがゴムに及ぼす影響について
- ゴムの老化防止剤について
- 不溶性イオウの熱転移機構に関する考察
- 放射線とゴム
- カーボンブラックの物理と化学