草類蛋白質の栄養価 : (第8報) 青刈大豆葉蛋白質の消化に及ぼす各種乾燥方法の影響について(其の2) 青刈大豆生葉蛋白質の消化について
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概要
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緑葉植物蛋白質の消化が,之を乾草にすると低下するのは,その乾燥に伴う蛋白質の変化に由来するものと考えて,先ず最初に青刈大豆生葉を家兎に単食させて,その一般成分及び各種溶性粗蛋白質及び純蛋白質の消化試験を行って次のような結果を得た. (1) 毎日直接圃場より採取した青刈大豆生葉について,その第1日目及び第7日目の試料の窒素分布を実測し,その他の試料の分布は計算によって之を求めた.その場合,純蛋白質のうち各種溶性純蛋白質が比例的に変化するという仮定に基いて,それ等の窒素分布を求めることが,最も矛庸の少い計算法であった.しかしながら生葉の全窒素に対する非蛋白態窒素, 0.3% NaOH溶性及び不溶性窒素の比率には7日間に可成りの変動が認められ,同時に又家兎の糞の窒素分布も毎日可成りの変動が認められたから,かかる実験を行う場合には,毎日の供試試料及び家兎の糞についてその窒素分布を測定する必要がある. (2) 青刈大豆生葉の粗蛋白質,純蛋白質,可溶性無窒素物及びペントザンの消化率は夫々78.9, 77.1, 89.0, 70.6%で極めて良い.之に反して,粗繊維のそれは26.0%であり,粗脂肪の消化は全く認められなかった.しかし全体として,乾物,有機物の消化率は夫々70.3, 71.0%であって比較的良く,T. D. N.及び澱粉価は夫々9.8%, 7.6%となる. (3) 粗蛋白質の消化率は極めて良く,殊に0.3%アルカリ性60%熱アルコール溶性,水溶性及び全溶性の粗蛋白質の消化率は夫々85.4, 84.7, 82.4%で良かった.之に反して0.3% NaOH溶性粗蛋白質の消化率は68.7%で悪く,この理由については,この蛋白質自身消化を受け難いものか,或いはMetabolic fecal nitrogenのための見掛けの消化率低下によるものであることを推定した.不溶性蛋白質の消化率は46.7%であった. (4) 純蛋白質の消化率も極めて良く,殊に0.3%アルカリ性60%熱アルコール溶性蛋白質の消化率は91.7%で非常に良かった.その他も亦大凡粗蛋白質の消化と同様な傾向にあった.又直接定量した純蛋白質と,その中に含まれている非蛋白態含窒素化合物を考慮して,分別定量した純蛋白質総量の消化率は夫々77.1, 75.3%で大差なかった. 本研究費の一部は農林省応用研究費によったものである.終りに臨み本研究を行うに当り,試料の調製及びその一部成分の分析に多大の御援助を頂きました,井浦節子,鈴木弘子さんに厚く感謝致します.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文