酵母のアミノ酸及びビタミン要求に就て(第9報) : β-アラニンの生成に就いて
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概要
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(1) アスパラギン酸はSacch. sakeの生育に対しては抑制的に作用し, Pichia membranaefaciensには生育促進効果を示す. (2) Sacch. sakeとPichia membranaefaciens各生菌体内に含有するβ-アラニンとパントテン酸を検討した結果, Sacch. sake細胞内にはパントテン酸は見出し得たがβ-アラニンは存在しなかった.これに反し, Pichiaにはβ-アラニンも顕著に存在することを認めた. (3) Sacch. sake及びPichia membranaefaciensの生菌懸濁に依るβ-アラニン生成試験の結果, Sacch. sakeに於てはアスパラギン酸を基質としてもβ-アラニンの増加は全くない.しかしプロピオン酸を基質とした場合にはβ-アラニンの増加を認めた.一法Pichiaに於てはアスパラギン酸を基質とした場合に顕著なβ-アテニンの増加を認めた. 前項の事実とこの生菌に依るβ-アラニン生成試験の結果から,アスパラギン酸のα-デカルボキシラーゼはSacch. sakeには存在しないか或い存在していても極めて微弱であろうと考えられる,これに反してPichiaにはアスパラギン酸α-デカルボキシラーゼが存在していることを示している. (4) 接種菌体量を103〜104に限定することに依って,アミノ酸とビタミンの関係を種々検討して来たが,生菌体内β-ニン〜パントテン酸の含量から107以上の接種量では当然これ等の結果は見出せないことが認められた.即ら107個以上が接種されればβ-アラニンの要求量からだけでも生菌体自身の含むβ-アラニンでアミノ酸の生育阻害打消は十分であるからである.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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