農薬の安定性に関する化学的研究(II) : 硫酸ニコチン製剤の紫外線による変化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
硫酸ニコチンの水溶液に紫外線を照射した場合,その紫外部吸収曲線から見て特異な変化がなく,また最大吸収波長も変らないため,ニコチンは紫外線照射によって単純に消失してゆくものと考えられる.第5表 硫酸ニコチン希釈液中のニコチンの半減期 各種の希釈液の紫外線照射によるニコチン量の変化の状況はそれぞれ図と表に示した通りで,水で希釈したのみの場合や,遊離のニコチンを水で希釈した場合,或いは硫酸によるpH 2.1の場合は直線的に減少している. 展着剤加用の場合,水酸化ナトリウムによる pH 9.5の場合には, 4時間までは直線的に減少するが,それ以後はゆるやかになっている.今これらの場合をすべて綜合して,紫外線照射時のニコチン半減期を各図の上から見て一覧すると第5表の通りである.半減期は水のみで希釈した液の3〜4時間に対し,展着剤を加用したものが約2.5時間となる.これは水酸化ナトリウムによるpH 9.5の場合に匹敵する.また遊離ニコチンはpHも高いが硫酸塩でないことが大きい原因で,格段に短い.実際使用時のニコチンの安定性はこの製剤が硫酸塩である点に大きく関与していると考えられる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 有機リン-パラジウム(II)錯体の薄層クロマトグラフィーによる組成決定
- 農薬の安定性に関する化学的研究(II) : 硫酸ニコチン製剤の紫外線による変化について
- 農薬の安定性に関する化学的研究(I) : 1-Naphthyl-N-methylcarbamateの製剤の紫外線による変化について
- Analysis of Dinitro-sec-butylphenol by Polarography