たばこアルカロイドの熱分解に関する研究(第14報) : 両切たばこ煙中のアルカロイド熱分解生成物のガスクロマトグラフィー
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概要
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たばこアルカロイドの熱分解機構解明のための資料を得る目的でニコチン型およびノルニコチン型の両切たばこの主流煙,副流煙および吸殻中のニコチンとノルニコチンの量的関係,ならびにそれらの熱分解生成物の組成について検討した. (1) 煙中にミオスミン, 3-ピリジルメチルケトン,ピリジン, 2-ピコリン, 3-ピコリン, 3-エチルピリジン, 3-ビニルピリジンを確認した.これらはいずれも副流煙中に多い.これらのうち後の二つの化合物は新たにたばこの煙中に見出されたものである. (2) たばこの煙中にはピリジン誘導体は存在するが,ピロリジン誘導体は確認されなかった.これはピロリジン環は熱に対して不安定であり,ニコチン,ノルニコチンは加熱によりピロリジン環から開環して分解することを示している. (3) 両切たばこを吸煙量40ml/2秒,吸煙間隔28秒で50mm喫煙した場合,ニコチンは主流煙中に18〜20%,副流煙中に17〜20%,吸殻中に6〜8%の割合で移行し,ニコチンの50%以上は分解する.ノルニコチンはニコチンよりも分解率が高く,その移行率は主流煙中に4%,副流煙中に3%,吸殻中に1%であり,ノルニコチンの90%以上は熱分解を受ける.しかしピリジン塩基の生成率はニコチンの場合もノルニコチンの場合も大差なく7%前後であり,ノルニコチンはニコチンに比べて加熱により化学変化を受けて重合物質を生成しやすいものと考えられる.また喫煙のさいアルカロイドの大部分はピロリジン環だけでなくピリジン環も分解して低級の炭化水素,無機のガス体,窒素化合物などになるものと考えられる.
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