Microbacterium sp. No. 205によるcyclic AMP生産-金属イオンの影響
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概要
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Microbacterium sp. No. 205におけるcyclic AMP生産におよぼす金属イオンの影響を化学合成培地で検討し, cyclic AMPの生成機作を論じた. Fe2+, Mn2+, Zn2+, Co2+, Mg2+がcyclic AMP生産に効果があり,その挙動は次のごとくであった. (1) 本菌はモノコロニー分離により, cyclic AMP生産に対するMg2+の至適濃度の異なる3つの型の菌株が得られた.すなわちA型, 2〜5mM; B型, 10〜40mM; C型, 40〜60mM. 50コロニーの分離に対して,おのおの2〜4%, 80%, 16〜18%の割合であった. A型は継代保存培養により, BまたはC型に変った.どの型もcyclic AMP生産の至適濃度以上では生育を阻害した. (2) Zn2+, Co2+のcyclic AMP生産に対する至適濃度は,おのおの約0.1mM, 0.01mMであった.その至適濃度以上では, Co2+は極度に生育を阻害したが, Zn2+はほとんど影響を与えなかった. (3) Mn2+, Fe2+のcyclic AMP生産に対する至適濃度は,おのおの約0.02μM, 0.01mMであり,その至適濃度範囲は他の金属イオンに比べて,非常に狭いのが特徴であった.またその至適濃度以上では,細胞の形態変化を伴って(伸長状→短桿状→coccus状),大いに促進したが, cyclic AMPはほとんど生産しなくなった. (4) 各金属イオンのcyclic AMP生産に対する至適濃度は培養条件の変化に伴って,若干変化した.たとえば, Fe2+の至適濃度は培地中のグルコース濃度が高くなると(15%までの範囲で)増加した. 以上の金属イオンのcyclic AMP生成に対する影響はB. liquefaciens ATCC 14929によるd, l-アラニン添加によるcyclic AMP生成の場合よりも,むしろB. ammoniagenes ATCC 6872のsalvage合成による5-ヌクレオタイド生産により類似していた. 終りに,有益なご教示,ご指導をいただいた東北大学農学部志村憲助教授,実験のご鞭撻をいただいた当社茂木啓三郎氏,茂木正利博士,横塚保博士,井口信義博士,吉田文彦博士,有益なご助言をいただいた杉山晋一博士,那須野精一博士,また実験の一部を担当された浦辺文代,宇佐見礼子各氏に深甚なる謝意を表する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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