Bacillus thuringiensisの生産する殺虫性毒素蛋白の精製と性状
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
微生物農薬として圃場試験用に調製されたBacillus thuringiensis var. aizawaiペースト乾燥物のジェットミル粉砕物より毒素蛋白を抽出精製し,その性状を検討した.毒素蛋白は,還元剤を含むアルカリ性溶液(pH 11.5)で抽出,等電沈殿(pH 4.5)とゲル濾過により精製した.等電沈殿物の殺虫活性は,結晶性毒素のそれとほぼ同じであったが,ゲル濾過によるいっそうの精製を行っても比活性の上昇が見られなかった.精製毒素のアミノ酸組成および糖含量は,結晶性毒素のそれらに類似していた.超遠心分析の結果, 6Mグアニジンあるいは0.05M SDS溶液では,結晶性毒素はそれぞれ1.12 Sおよび2.82 Sの単一成分を示したが,精製毒素は1.80 Sと7.70 Sおよび2.35 Sと5.30 Sの2成分より成ることが示された.精製毒素の場合,その精製過程で,殺虫活性には関係なく蛋白に一種の変質が起り,上記の結果となったと推論している.一方,精製毒素をさらに解離させるために, 0.05M SDS溶液中で加熱処理を行った.熱処理とともに低分子が増加し,ゲル濾過およびSDSスラブ電気泳動でその分子量が1.4万と2.8万であることが確認された.アミノ酸分析の結果,それらは原料の精製毒素に類似していただけでなく, SDSを含有しない中性溶液でゲル濾過をすると槽当部分が10万以上のフラクションに移行した.この結果より,毒素蛋白は1.4万のサブユニットより構成されていると推論した.
著者
-
続木 博茂
塩野義製薬株式会社研究所
-
森原 和之
塩野義製薬株式会社研究所
-
和泉 太郎
塩野義製薬株式会社研究所
-
井上 英男
塩野義製薬株式会社研究所
-
宮園 稔
油日ラボラトリーズ
-
石黒 丈雄
油日ラボラトリーズ