サーモライシンの活性に及ぼす有機溶媒の影響
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概要
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サーモライシンの活性におよぼす有機溶媒の影響を検討し,以下の結果をえた. サーモライシンの活性は,数種の有機溶媒の存在下で見かけ上著しく低下する. 25%の有機溶媒を含む緩衝液中で,基質としてカゼインを用いた場合.活性は有機溶媒を含まない場合に比べて6〜40%に低下した.また,合成基質(Z-Gly-Phe-NH2)を用いた場合は, 3〜13%に低下した.この有機溶媒による阻害はすべて拮抗型であって, Vmaxの値はほとんど変らなかった.ジメチルスルホキシドと酵素との結合の解離定数は, 2Mと求められた. CD,蛍光,UVスペクトルから,有機溶媒の存在下で酵素の構造は変化していないと考えられ,この阻害は有機溶媒による酵素の構造変化によるものではないと結論された.また,この阻害には,系の誘電率の変化による効果もほとんどないものと推察される. 有機溶媒の添加で,カゼインに対する活性の抵下は,合成基質に対する活性の低下より小さいことから,サーモライシンの基質結合部位にサブサイトが存在することが予想される.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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