ちつ管上部下垂(脱出)に対するちつ式修復術
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概要
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腟管下垂(脱出)はDeLancey によるとその下垂部位により3レベルに分けることができるという.かくて各レベルの下垂(脱出)に対し,それぞれいくつかの適切な術式の選択が要求されることとなる.このうちもっとも修復困難な下垂(脱出)部位が腟管上部(Level I)と考えられる.この部の下垂には腸瘤,膀胱瘤,直腸瘤,前腟壁側方支持欠損等の合併が多いこともその1原因と考えられる.さらにはその腟管上部をどこにかつ,いかに固定するかも問題となろう.このように腟管上部下垂(脱出)にかぎってみてもその修復術はこれまで多数提案されており,本疾患に対する修復術はいまだ完成されたとはいい難い.各レベルにおける下垂(脱出)には,いくつかの要因が重なっており,ただ1つの修復術を採用するのみでは当然不完全な修復となり,下垂(脱出)が起こっている原因を検討しつつ術式を選択,決定する必要がある.複合した腟管上部の下垂(脱出)の解明を怠ると,再発の頻度は高くなる.そしてそのことがこれらの修復術をいっそう難しくする.最近,腟上部下垂(脱出)に対する新しい修復術(Shull法)が提案された.本法は修得が比較的容易で,かつ理論的にも矛盾しない方法であり,骨盤修復外科を目指す医師には修得すべき1術式と考えられ提示した.またレベル分類に則った術式分類と,これら腟管上部下垂(脱出)に対する術式につき言及した.〔産婦の進歩54(3):199-204,2002(平成14年5月)〕
- 近畿産科婦人科学会の論文