腟管上部下垂・脱出に対する腟管吊り上げ術(Shull法:腟管仙骨子宮靱帯固定術)の工夫
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概要
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腟管上部下垂・脱(Level 1,DeLancey)に対する修復術にはこれまでいくつかの方法が提案されてきた.これら術式のうち,腟管上部を小骨盤腔深部で仙骨子宮靱帯に吊り上げるShull法は,腟管を解剖学的に生理的な位置に修復固定する優れた方法である.その手術理論は上述のごとく簡単であるが,術式の手順,工夫および注意点に関しいまだ十分な検討や報告がなされていない.ここに私が行っているShull法の工夫と注意点を述べる. 小骨盤腔の解剖の理解と合併症の予防,本手術を円滑に行うため自家製器具の作成,利用および手術手順の工夫を行った.その概要は,子宮頸部諸靱帯の処理方法,仙骨子宮靱帯への運針の方法,長大ガーゼおよび針糸のもつれ防止の工夫とそのための自家製器具の考案,起こり得る合併症の有無の確認等である.腟管上部下垂・脱の修復術としてのShull法は優れた術式であり本法の普及が望まれるが,本法を安全かつ容易に遂行するための工夫の余地は残されている.〔産婦の進歩56(1):1-4,2004(平成16年2月)〕