卵巣腫瘍と鑑別が困難であった骨盤内血腫
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
腹腔鏡手術を行った骨盤内血腫の1例を経験したので報告する.症例は19歳の女性.腹痛,不正出血を訴え救急受診.内診,画像所見などから卵巣腫瘍茎捻転による内出血,出血性卵巣嚢胞,内膜症嚢胞などを疑った.翌日,症状が増悪したため,腹腔鏡で観察,手術を行った.骨盤内,子宮右側から直腸右側にかけて血腫を認め,これを順に取り除いたが明らかな出血源はみつけられなかった.病理組織で血腫表面に上皮成分を認めた.骨盤腹膜に内膜症病変(散布状黒斑)を認め,これより採取した生検組織に間質細胞と思われる細胞塊が見られた.血腫の原因は不明であるが,腹膜表面の内膜症病変からの出血による血腫,原因不明の広靭帯内血管の破綻による血腫,卵巣出血が広靱帯内へ進展し血腫を形成した可能性などが考えられた.なお,血腫除去により痛みは消失し,術後経過も順調である.〔産婦の進歩58(4)345-350,2006(平成18年11月)〕
- 近畿産科婦人科学会の論文
著者
-
中山 毅
JA静岡厚生連静岡厚生病院
-
田中 一範
JA静岡厚生連静岡厚生病院
-
田中 一範
静岡厚生病院産婦人科
-
加藤 稚佳子
明石市民病院産婦人科
-
中山 毅
静岡厚生病院産婦人科
-
加藤 稚佳子
明石市民病院産科婦人科
-
中山 毅
静岡厚生病院
-
田中 一範
静岡厚生病院
関連論文
- P1-80 周産期における心肺蘇生の取り組み(Group10 妊娠分娩産褥1,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 妊娠中および帝王切開術後に発生した癒着性イレウスに対して, 大建中湯が奏功した一例
- 帝王切開手術における新しい創被覆材の使用経験
- 腹腔鏡下子宮腺筋症摘出術 (Laparoscopic adenomyomectomy) におけるコールドナイフの使用経験
- 頚管内に突出した有茎性子宮粘膜下筋腫に対し、子宮鏡手術を試みた一例
- 症例報告 卵巣腫瘍と鑑別が困難であった骨盤内血腫
- PETと腹腔鏡が診断に有用であった卵管癌の一例
- P2-3-1 腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術における,新しい卵巣固定法の可能性 : 胆嚢把持装置を用いた1例(Group75 生殖医学(症例)3,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 子宮収縮抑制剤による切迫早産の治療中に, 母体に発作性心房細動が発症した1例
- 卵巣腫瘍と鑑別が困難であった骨盤内血腫
- 多施設アンケートに基づいた、産婦人科腹腔鏡手術における、トロカーに関連する手技や合併症についての検討
- P1-27-6 ジエノゲスト投与による子宮内膜ポリープの臨床病理学的検討 : 子宮鏡手術における術前投与期間による,病理学的変化について(Group 27 生殖・手術,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第65回学術講演会)
- P2-25-6 妊娠中の小切開下に行う開腹卵巣腫瘍摘出術おける,卵巣牽引を目的とした臓器固定装置の使用経験(Group 63 婦人科腫瘍全般・手術,一般演題,第66回学術講演会)