食品成分の光増感分解に関する研究(第2報) : リボフラビンによるメチオニンの光増感分解
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概要
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メチオニンはリボフラビンの共存下,可視光線分解して,メチオナール,アクロレイン,グリオキザール,メチオニンスルホキシド,メチオニンスルホン,メチルメルカプタン,アンモニア等を生成した.これらの生成物から,メチオニン光分解生成物の匂いの複雑性が明らかになり,これらの生成物は食品のsunlight off floaverの重要な因子となっていることが推察された.その際, 1. 酸化的に脱アミノ,脱炭酸してメチオナールを生成し,さらにメチルメルカプタンとアクロレインに分解する経路,および, 2. イオウ原子が直接酸化されてメチオニンスルポキシドを経て,メチオニンスルホンを生成し,さらに分解してグリオキザールを生成する経路が確認された.一方,窒素気中でメチオニンーリボフラビン系水溶液に光照射を行なうと,緑色または褐色のリボフラビンの還元物の沈殿が生成する.このことから,リボフラビンは光照射時,被酸化物から水素を引き抜くと考えられる.またイオウ原子が直接酸化されることから,リボフラビンは光照射によって酸素を活牲化することが考えられる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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多田 全宏
東京農工大学農学部応用生物科学科生物有機化学研究室
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小林 昇
東京農工大学農学部農芸化学科食品化学教室
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小林 節子
東京農工大学農学部農芸化学科
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小林 昇
東京農工大学農学部農芸化学科
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多田 全宏
東京農工大学農学部農芸化学科
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多田 全宏
東京農工大学生物有機化学研究室
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