加熱による牛乳蛋白質のポリアクリルアミドゲル電気泳動における変化
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概要
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新鮮な牛乳より調製した全カゼイン,全乳清蛋白質をpH 7.0, 0.02M燐酸緩衝液に透析し,脱脂乳は透析しないでそのまま,70°, 80°, 90°, 100°, 120°各20分間加熱したときの変化を,ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて未加熱のものと比較した. (1)カゼインの加熱により, pH 9.1,トリスEDTA緩衝液, 4.5M尿素含有, 7%アクリルアミドゲルを用いる電気泳動では, 120°, 20分で明らかな変化が認められ, αsカゼイン, βカゼインが減少し,全体に拡散した泳動図を示す. (2)全乳清蛋白質の加熱により, pH 8.6, 0.03Mホウ酸緩衝液含有, 8%アクリルアミドゲルを用いる電気泳動では,ゲル孔に入り込めないスロット残分の増加と, βラクトグロブリンとαラクトアルブミンの中間を項点とする全体に拡散した泳動図を示す. (3)脱脂乳の加熱により全カゼイン,全乳清蛋白質単独の加熱にくらべて,スロット残分の増加が著しいが,ここは共存する塩類,糖類の影響や,カゼインと乳清蛋白質との相互作用によるものではないかと思われる. (4)熱変性によって会合し,泳動しない変性乳清蛋白質は尿素および2-メルカプトエタノールの作用により再び解離して泳動するようになり,未変性,変性の別なく,βカゼインにやや重なって, αsとβカゼイン間に現われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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