清酒酵母に関する研究 : (第3報)前培養(酒母)最適糖濃度に就て
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概要
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Bé 18°(sugar 32%, acid 3.0cc, pH 4.2)よりBg 5°迄の各種加乳酸麹汁を前培養液として,協会6号及び7号酵母に就て醗酵試験を行い,その最適糖濃度を試験した.その結果は次の通りである. (1) 前培養の糖濃度はBé 13°,糖分23%附近が最も醗酵力は強い. (2) 一般に前培養が古くて淡糖のものは醗酵力が前緩後急,若くて濃糖のものは前急後緩的であつて,濃糖のものは前培養日数経過と共に醗酵力の弱化が著しい. (3) 前培養の酵母の収量は25°でBé 13〜14°,糖分23〜25%附近で3〜5日後最高となりそれより濃糖に,なるにつれ又日数経過と共に急減する. (4) 従つて速醸酒母に於ては現行の汲水歩合より少しく汲水を延ばして,膨れの濃度を23%附近とするのが最も強力な酵母を育成する事となる. 終りに臨み種種御指導御鞭撻を賜つた恩師坂口先生並びに醸造試験所長山田先生及び本実験に協力された中西志郎氏に深謝の意を表します.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文