砂丘地土壌におけるブドウの苦土栄養に関する研究
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概要
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1. 砂丘地におけるブドウの苦土欠乏症対策の基礎資料を得る目的で,砂丘未耕地の土壌を用い3年連続の砂耕試験を行なつた。最初の2年は苦土施用濃度の差異がブドウ樹の生育,収量などに及ぼす影響について調査し,第3年目には苦土欠乏樹に対する苦土施用の効果を検討した。 2. 樹体の生育は第1年目(未結実樹)は苦土施用濃度20〜80ppm,特に80ppmが優れ,第2年目(結実樹)は160ppmまで施肥濃度の:増加に伴なつて良好となつたが, 20ppmから160ppmまでの各区間の差異は.少なかつた。 果実収量は20ppmが最高で,それ以上苦土施用濃度が高くなると漸減し,特に160ppm区の取量低下が顕著であつた。苦土無施用の場合は生育,収量ともに著しく劣つた。 3. 苦土無施用区は両年ともに著しい欠乏症を示したが,未結実樹は20ppm以上(葉内Mg含量0.19〜0.16%)では現われず,結実樹は80ppm(0.18〜0.24%)でも僅かに欠乏症を示した。また未結実樹では葉内の苦土と加里含量,枝梢内の苦土と石灰含量に顕著な逆比例的関係が認められたが,結実樹ではそれほど明瞭でなかつた。 4. 苦土施用濃度に比例してポット内の土壌中の置換性苦土含量は増加したが,施用濃度の等しい加里と石灰特に加里は苦土施用濃度と逆比例的に減少した。果実収量が欠乏症の相当発生していた20ppmで最高となつたのは,この加里の利用率の低下に起因すると思おれる。 5. 第3年目に過去2年の処理で苦土欠乏症を示した各区に80ppmの苦土を施用した結果,欠乏症の発生は低下し,葉内苦土含量も増加したが,なお前年度の症状に応じた発生が見られた。
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