ブドウ果実の着色に関する研究 (第6報) : マスカット•ベーリーA種の果皮の着色ならびに色素形成に及ぼすしや光の影響
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概要
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1. マスカット•ベーリーA種の果房に袋掛けして自然光の25%および0%照度にしや光し, 果粒の着色度, 果皮中のアントシアニンの量 (総量) および組成, 果粒中の還元糖, 遊離酸およびクロロフィル含量を比較調査した。しや光処理は果粒の発育周期によつて (I)落花期〜硬核初期, (II) 硬核初期〜着色開始期, (III)着色開始期〜収穫期, (IV) I+II, (V) II+III および(VI) I+II+III の6期間に分けて行なつた。2. 0%照度の場合, 落花期から硬核初期までのしや光処理では, 果粒重, 果房重はともにいちじるしく減少し, その結果果房の着色度は良好となり, 果皮中のアントシアニン含量ならびに還元糖含量は増加した。硬核初期から着色開始期までのしや光処理では, 果粒重および果房重は減少したが, 着色度, アントシアニン含量および還元糖含量のいずれにおいても大きな変化はみられなかつた。着色開始期から収穫期までのしや光処理では, 果房重はほとんど変化せず果粒重はやや増加した。また着色度は不良となり, アントシアニン含量ならびに糖含量は著しく低かつた。これらの2期以上にまたがる処理では, 各期間の影響が相互に作用した。なお, クロロフィル含量は落花期から着色開始期および全期間しや光した両区で低く, 着色開始期から収穫期までしや光した区でやや高かつた。また遊離酸含量は処理によってほとんど変化しなかつた。25%照度の場合の処理の影響は, 各期間いずれにおいてもそれほど顕著でなかつた。3. 果皮中には7種類のアントシアニンが検出されたが, それらの相対量比は処理区間で顕著な差異を示さなかつた。なお, 各処理区の着色度とアントシアニン含量の間には+0.905の高い相関が認められ, さらに還元糖含量とアントシアニン含量の間にも+0.897の高い相関が認められた。
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