サトイモの生長に伴なう葉の同化量ならびに体内生理条件の変化
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概要
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1. サトイモ(鳥播)を6月1日圃場に定植し,親株の葉の生長ならびに同化量および体内生理条件についてしらべた。 2. サトイモの葉はその抽出展開前にほとんど生長し展開後はわずかしか生長しない。葉位の上昇ないしは生育に伴なつて, 8月中旬までは著しく葉長が増大するが,その後はその増加度はやや低下する。 3. 単位面積当りの乾物重はつねに葉令の進行に伴なつて増大するが,その増加度は13〜15葉位(9月2日展開)以上の葉では著減している。 4. 同化量は生育初期より8月下旬までは著しく大で以後漸減している。この変化は平均気温の変化とほとんど平行的で,平均気温が20°C以下になると同化量は著減している。一方個体当り総同化量も8月に最大を示し以後急減している。 5. 組織粉末比重は9月中旬までは生育につれて減少し以後増加している。 6. 組織粉末加水浸出液濃度は生育初期より9月上旬まで滅少し以後急増し,比電導度は生育初期に高く漸減して9月下旬に最低となり以後増加している。これらの変化から9月中旬は両者共に低く,この時期以後葉の生理的活性度が著しく低下することが窺われる。 7. 以上の事項から,サトイモの葉においては9月中旬頃に体内生理条件の転換が起り,それ以前は地上部の生長が旺盛であり,9月中旬以降は地下部の生長が旺盛になるものと想像される。
- 園芸学会の論文