果樹の人工授粉の能率化に関する花粉懸濁液についての研究 : アルコール添加液に浸漬した花粉の発芽について
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概要
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1. 液に浸漬された花粉の発芽力を維持する一つの方法として, 少量のアルコール添加を考え, ナシ, リンゴ, カキについて, 浸漬花粉の発芽力におよぼす影響を調べ, 圃場の授粉試験を行なつて, その効果を検討した。2. ナシ花粉はその懸濁液に7%アルコールを添加することによつて, 液中の発芽が抑えられ, 発芽力も維持された。とくに, しよ糖とアルコールの複合液に浸漬した場合にその効果が大であつた。3. リンゴ花粉はその懸濁液に5%アルコールを添加すると, 浸漬2〜3時間までは浸漬液中の発芽はきわめて少なく, 人工発芽床に置床したのちの発芽率, 花粉管伸長度ともに良好であつた。3時間, 液に浸漬した祝, 旭の混合花粉で実際にゴールデンデリシャスに人工授粉して, 結果率を調べたところ, 無浸漬花粉区に近似の高い値を示し, また含有種子数においても, ほとんど差がなかつた。4. カキ花粉はその懸濁液に5%アルコールを添加することによつて, 浸漬液中の発芽を少なくし, 人工発芽床へ置床してからの発芽ならびに花粉管の伸長を良好にした。実用的に安全な浸漬許容時間は1時間で, この範囲内ならば無浸漬花粉の授粉に近い結果率が得られるようであつた。
- 園芸学会の論文