エンドウの分枝性に関する研究 (第4報) : 光の強弱が分枝におよぼす影響
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概要
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1. Arvense 系の品種であるGW, hortense 系のウスイと World Record を用い, 春まきと秋まきとにおいて, 生育中のしや光がその分枝性に与える影響を検討した。2. しや光のためにはビニロン製の寒冷しやをうねまたはポットの上にトンネル型にかけ, 寒冷しやの被覆枚数を変えることによつて入射光量の調節を行なつた。またある実験では生育前半だけ, また他の実験では生育の全期にわたつてしや光をした。さらに1つの実験ではは種位置に接近して種々の厚さにわらでマルチングを行ない, 発芽後しばらくの期間におけるしや光の影響をしらべた。3. 用いられたすべての品種において, しや光はその主枝の節間伸長を促進する。この傾向は特に arvense系の品種GWにおいて著しい。4. しや光は主枝の低節位における分枝の発生をおさえ, 反対に高節位分枝の発生を促すことが明らかになつた。生育初期のしや光(たとえばマルチングによるもの)けでも同様の結果を生ずる。またこの影響は1次分枝だけでなく2次分枝の発生にもおよぶ。5. 発生した分枝の, その後の伸長に対するしや光の影響は実験によつてことなり, 一定の傾向を明らかにすることができなかつた。これには気温, しや光の期間, 分枝型の品種間差異などの要因が関係しているものと考えられる。6. エンドウの分枝性に影響を与える諸要因のうち, 低節位分枝の発生をおさえ高節位分枝の発生を促進するものとしては, しや光のほかに長日, 高温およびジベレリンの散布がある。これらの要因はすべて体内のオーキシンまたはジベレリンの含量をたかめるか, あるいはその作用を強めるものであり, さらにこれらの条件はすべてエンドウの主枝の節間伸長を促すものである。このような共通点に関連して若干の考察を行なつた。7. しや光がエンドウの低節位分枝の発生をおさえる事実は栽培管理上注意すべき問題と考えられる。
著者
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