エンドウの分枝性に関する研究 (第1報) : 日長および種子低温処理が分枝性に及ぼす影響
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概要
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1. 加工用および剥実用のエンドウ品種を材料として, 日長と種子低温処理の分枝性に対する影響を検討した。用いられた品種のうち, 形質的にみて arvense の系統に属するものは GW, 白花在来, 赤エンドウ,hortense 系に属するものは Alaska, Alderman, ウスイである。これらの種子はすべて滋賀県農業試験場園芸部で採種されたものである。2. は種期は1960年の5月23日, 9月5日, 10月20日および1961年の4月26日の4回である。このうち, 4月および5月まきでは自然日長区を長日区 (LD)とし, 短日区 (SD) では朝夕の遮光によつて8時間日長をつくりだした。また9月および10月まきでは, 自然日長区を短日区とし, 長日区では夕方からの白熱灯の補光によつて16時間日長をつくりだした。さらに4月および9月まきにおいて種子低温処理区を設けたが, ここでは水浸種子を2±1°Cで20日間 (V20) または30日間 (V30) 冷蔵し, 催芽のみを行なつた無処理の種子 (V0) とともに所定の日には種した。各は種期を通じ, は種はすべて滋賀県立短期大学 (草津市) のほ場において行なわれた。3. 短日によつてエンドウの主枝および分枝の節間伸長は著しく抑えられる。また9月まきの自然日長(短日)区では種子低温処理による草たけの増加を認めた。4. 短日によつて総分枝数は明らかに増加する。この場合, 1次分枝よりも2次分枝の数の増大が著しい。また hortense 系の品種よりも arvense 系の品種が, 早生品種よりも晩生品種が, 日長によく反応する。しかし4月および5月は種による実験では, これらすべての反応は著しく弱められる。種子低温処理による分枝数の変化についてみると, 品種およびは種期によつてことなつた反応を示し, 処理による一定の結果を認めない。5. エンドウの分枝を, その主枝上における発生位置によつて高節位分枝と低節位分枝とに分けてみると, 短日によつて増大するのは低節位分枝であり, 高節位の分枝の発生は短日によつて抑制されることが明らかになつた。また種子低温処理を行なうと, 低節位分枝が減少するが, 高節位分枝は対照区よりも多い。このことは短日区と長日区とに共通の現象である。6. 本実験に用いられたすべての品種において, 日長および種子低温処理が第1着花節位に及ぼす影響はきわめて明らかであつた。すなわち, 着花節位は短日によつて高められ, 長日および種子低温処理によつて低められる。この場合, 早生品種よりは晩生品種において日長による着花節位の低下は著しい。
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