タマネギの鱗茎形成に関する研究 (第3報) : 葉鞘基部の肥大に及ぼす植物生長調整物質の影響
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概要
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タマネギの鱗茎形成の機構を知るため, 数種の植物生長調整物質を用いて実験を行なつた。1. 短日条件下でIAA, NAA, 2,4-D, カイネチン, TIBAの葉面散布によつて, 葉鞘基部の肥大は認められなかつたが, MHの500〜5000ppm処理によつて肥大は認められた。2. MH処理による肥大にともない, 生長点の伸長は抑制され, 葉数, 根重は減少したが, 地上部重は減少せず, T/R率は増加し, 長日下における肥大と類似の現象が観察された。またMH処理によつて葉鞘部の糖含量は増加したが, 葉身部でも糖は増加した。3. 以上のことからMH処理による葉鞘基部の肥大の原因はMHによる生長点の細胞分裂能の低下と副因として糖の葉鞘への蓄積が考えられる。4. MH処理による肥大は細胞組織学的には葉鞘柔細胞の大きさの増加によるものである。5. タマネギは長日に感応しても2.4-Dの20ppm以上の濃度で肥大を抑制し, 200ppmでは短期間の長日効果は完全に打ち消され, 長日の期間が長い場合でも肥大は抑制され, 2,4-Dの抑制が解除した後でも, ある限度以上には肥大しなかつた。6. 2,4-Dによる肥大抑制の原因として, 呼吸量の増加と, 長日刺激によつて生成された鱗茎形成物質に対する2,4-Dの対抗作用が考えられる。7. 2,4-Dによつて肥大が抑制された場合葉鞘柔細胞の肥厚は見られなかつた。本研究を行なうにあたりご助言をいただいた本学中村直彦教授に対し厚くお礼を申し上げる。
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