モモの忌地に関する研究 (第7報) : モモ生育土壌および樹体中に存在する毒物質の性質
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概要
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1. 1954年および1955年に, モモの葉および根を新鮮なまま, あるいは1日〜1年間乾燥状態で保つたものを土壌に加えて, モモ実生の生育を比較した。1954年には加用量が少なかつたので, 生長量は無加用区に比べて, 生根区, 15日乾燥根区だけが劣つた。1955年には加用量を増したので, 無加用 (標準) 区に比べて, 加用区はいずれも生育が劣り, その傾向は生葉区, 生根区で最も著しく, ついで1日乾燥区, 1年乾燥区の順であつた。2. 乾燥, 加熱あるいは破砕したモモの葉を土壌中に加え, モモ実生の生育を無加用区と比較すると, 初期の生育は加熱葉区において最も劣り, ついで乾燥葉区および生葉区の順に劣つた。生育の後期においては, その傾向は逆転し, 生葉区が最も劣り, ついで乾燥葉区および加熱葉区の順に劣つた。しかし, 破砕葉を加えた場合には, 全期を通じて標準区とほぼ等しかつた。3. モモの生葉および破砕葉の水浸出液を用いてダイコン種子の発芽を調べると, 著しく発芽が不良であるが, 液を100°Cで10分間煮沸すると多少, 30〜60分間煮沸すると相当に発芽が良くなつた。4. 野生モモの生葉を乳鉢ですりつぶし, 6〜30分間空中に放置した後, 蒸留水で浸出, ロ過した液を用いてダイコン種子の発芽を検した。その結果, 破砕後30分間空中に放置すると, 発芽抑制力は完全に消失した。5. モモ葉の水浸出液はモモの生育またはダイコン種子の発芽を非常に抑制したが, この作用は活性炭処理によつて相当に減少した。酸性白土または埴土処理の効果ははつきりしなかつた。
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