はち物容器に関する研究 (第1報) : 素焼きばちの物理性について
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概要
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はち物容器において最も一般的に使用されている素焼きばちの特性を明らかにするため, わが国の主要なはち生産地から7種類の素焼きばちを取りよせ, 二, 三の物理性について測定した.1. 通気率は 4.70×10-4〜2.53×10-5ml•cm/cm2•cm•sec の値を示し, 最もすぐれていたのは茨城県真壁産であり, 最も劣つたのは東京都江戸川産で, 両者の間には約20倍の開きがあつた. 愛知県産はいずれも両者の中間の値を示した.2. 透水率の値は 4.70×10-6〜3.95×10-8ml•cm/cm2•cm•sec で良否の順位は通気率の順位と一致したが, 各区間の差はより大きくなり, 茨城県真壁産と東京都江戸川産との間には120倍もの差があり, また透水率は通気率の1/100〜1/650の値を示した.3. 吸水率と見掛気孔率はほぼ同じ傾向を示し, 東京都産のものが最も高く, 茨城県磯原産のものが最も低かつた. なお気孔率と透過性との間には関係がみられなかつた.4. 見掛比重は茨城県真壁産のもののみが大きく, 他区間にはほとんど差がなかつたが, 嵩比重は茨城県産のものがいずれも大きく, 東京都産のものはいずれも小さかつた.5. はち壁を薄片にして孔げきの分布状況を光学顕微鏡で観察した. 各区とも径の小さい孔げきほど, より多くみられた. 透過性の良好なものは, 大孔げきやき裂がみられるものか, あるいは細かい孔げきの割合が少ないかのいずれかの傾向が認められた. 茨城県磯原産のものは, 透過性では各区の中間の程度を示したが, 大孔げきはみられず, 観察できた孔げきの総数も少なかつた.
著者
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