果樹の葉内水分不足に関する研究 (第5報) : ウンシュウミカンの葉の水ポテンシャル及び葉内水蒸気拡散抵抗の時期別推移について
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概要
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ウンシュウミカンの葉の水ポテンシャル (ψ), 葉内水蒸気拡散抵抗 (RL) 及び樹体生長について時期別に調査した.1. 日出前のψ(ψmax) は地温が約12°Cまで低下した11月中旬から-3barまで上昇しなくなつた. また, この頃からRLも急速に増大していくことから, 普通温州の水分代謝は11月中旬から休眠期に入つていくものと思われた. 1〜2月に葉のψは最低値を示し, 地温が11°C前後を示す4月中旬にψmaxは-3barまで上昇し, 日中のψ(ψmin) も高くなつた. その後6月上旬までのψminは, -5bar前後と高い水分状態で経過した (夏季において適湿土壌の場合, ψmaxは約-3bar, ψminは-10〜-13barを示す).2. RLは3月下旬から急激に低下を始めるが, ψmaxが-3barになつた4月中旬でもRLは30sec/cm前後で, 夏季のRL (適湿土壌下, 1:00〜2:00p.m.のRLは4〜8sec/cm) 近くまで低下するのは6月上旬になつてからであつた. これに対して, ほう芽後1か月の葉長3〜5cmの幼葉のRLは15sec/cmと低い値を示し, 展葉中の6月上旬に夏季並みのRLを示した.3. ψmaxが約-4barにまで上昇した4月上旬にほう芽が肉眼で識別出来るようになつた, ほう芽及び開花期頃は枝幹の直径の減少が大きく, このことはこの時期の生育エネルギーを枝幹を含めた樹体の貯蔵養分に大きく依存していることを示すものと思われた.
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