日本ナシ果実の硬化障害に関する研究 : (第1報) 二十世紀果実のユズ肌発現程度と成分含量との関係
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概要
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二十世紀の成熟期におけるほぼ同じ大きさの果実をユズ肌果の発現程度別に分け, それ等の成分含量を測定し, 得られた結果について統計数理的要因解析を試み, ユズ肌発生に果実内成分がどのように関係しているかについて検討した.1. ユズ肌果はP含量がやや多く, N, Ca含量は少なかった. ユズ肌果の発現程度が重くなるにしたがってその傾向は著しくなった. ユズ肌果発生におよぼすCa含量は約0.047%以下であろうと推測した.2. ユズ肌果の糖含量は全糖, 果糖が低下しており, ブドウ糖, デンプンは増加した. なかでも発現程度が重くなるにしたがって果糖の減少が著しく, ブドウ糖は増加したのに対し, ショ糖はあまり変化が認められなかった.3. 果実中のN含量と全糖, 還元糖, 果糖含量とが, Ca含量と全糖, 還元糖, 果糖含量の間には正の, N含量とブドウ糖, デンプン含量と, Ca含量とデンプンとの間には負の相関が認められた. なお, Ca含量とブドゥ糖およびショ糖とは相関が認められなかった.4. 主成分分析および重回帰分析の結果, ユズ肌果の発現程度におよぼす要因として, 果糖, Ca, N含量などがデンプンとともに選ばれ, Caの吸収低下に関連した糖構成の異常, とりわけ果糖の含量低下が原因しているように思われた.
著者
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