日本ナシ果実の硬化障害に関する研究 (第2報) : 鉢植土壌への石灰施用と乾湿処理がユズ肌果発生に及ぼす影響
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概要
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毎年ユズ肌果発生の認められた8年生二十世紀をコンクリート製ポットに栽植し, それらにCaO2及びCaOを施用し, 併せて乾燥処理 (pF 2.6), 過湿処理 (pF 1.3) 及び標準湿度処理 (pF 2.2) を行ない, ユズ肌果の発生にどのような影響を及ぼすかについて調べた. 更に, 果実, 葉及び土壌を分析し, それらの結果からユズ肌果の発生防止の可能性について統計数理的解析を試みた.1. ユズ肌果発生率は, 標準湿度処理の石灰施用区が初年度から著しく低下し, 4年次には約13%まで低下した. 石灰施用区の果実は発育も良く, 軽症の果実でも大部分は商品価値が認められた. しかし, 乾燥及び過湿処理の石灰施用区は初年度には50数%まで低下したが, その後は増加し, CaO2区は65〜69%に, CaO区は81〜82%になった.2. 果実内無機成分含量は, 過湿処理においては, N, P及びK含量が標準及び乾燥処理に比べて, 乾物%及び1果中の絶対量とも少なく, Ca及びMg含量は標準湿度処理のそれらよりも少なかった.3. 葉分析の結果では, 過湿処理のP, K及びCa含量が少なく, 乾燥処理ではK及びCa含量が低下していた. また, 土壌中の塩基については, 過湿処理では置換性Ca及びMg含量が少なく, 乾燥処理では置換性Ca及びK含量が低かった. 更に, 土壌中の全Caも, 乾燥および過湿処理の両区は標準湿度処理に比べて著しく低かった.4. 果実中の糖含量は, 標準湿度処理の石灰施用区で果糖及びショ糖含量が高く, ブドウ糖及びソルビトール含量は低かった. しかし, 乾燥及び過湿処理の石灰施用区ではそのような傾向は認められなかった. 酸含量は, 乾燥処理がやや高く, 過湿処理は低かった.5. 果実の呼吸量及びエチレン発生量は乾燥及び過湿処理が標準湿度処理よりも多く, 果実の成熟が促進していた.6. 主成分分析並びに変数選択型重回帰分析によりユズ肌果発生防止の可能性について検討した結果, 主要因として果実中のCa含量と果糖含量及び葉中のCa含量が選ばれ, 第2次要因として土壌中の置換性Ca及びMg含量, 石灰飽和度, pHなどが選び出され, そのほか, デンプン, 呼吸量及びエチレン発生量なども関連していた. これら選抜された要因はユズ肌果発生防止対策実施上の指標項目になり得ることが明らかとなった.
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