ブドウ樹の発育に及ぼすCCCの生理的作用について
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概要
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鉢植ブドウ樹の新梢が約23cmになった時にCCCを土壌に処理し, その後の発育, 花穂の分化, 樹液中のサイトカイニン活性および葉の光合成, 呼吸活性に与える影響を調査した.(1) 新梢の伸長や乾物重は処理による影響を受けないが, 根の乾物重の増加が見られた. また, 根の外観は対照区のものと余り変らなかった.(2) 地上部と地下部の比率は約1/2に減少し, 樹液の量は約2倍に増加した. 樹液をセファデックスLH-20カラムクロマトグラフィーで分離すると, 対照区のものには少くともゼアチン, ゼアチン•リボサイドを含む5種類のサイトカイニン様物質が存在していた. そして, CCCを処理することによってサイトカイニン様活性の主ピーク (Compound 1) が低下し, その反面6番目のサイイカイニン様物質 (Compound 5) が現われた.(3) CCCを処理した個体のえき芽における花穂の分化•形成数は対照区のものより多かった. そして, 花穂の分化•発達の程度は芽の位置 (節位) によって異っており, 枝の基部から3〜5節の芽の方が8〜10節のものより進んでいた.(4) 葉のクロロフィル含量はCCC処理によって増加する傾向を示すが, 特に若葉でそれが著しかった. また, 光合成活性もCCC処理によって成熟葉で促進される傾向を示した. しかし, 暗呼吸活性はCCC処理によって影響を受けなかった. 一方, 光呼吸 (PIB-1) 速度および光呼吸と暗呼吸の比はCCC処理により成熟葉で促進された.
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