ヒボタンの接ぎ木苗生産における枯死株発生の要因
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概要
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ヒボタンの接ぎ木苗生産において, 10%前後の割合でみられる枯死株の発生要因を明らかにするため接ぎ木癒合部の組織観察を行った.1. 接ぎ木後15及び30日目には75%, 90日目の健全株では100%の個体で維管束連絡が完成していた. 一方, 表皮が退色しやがて枯死する90日目の“白ボケ”株ではわずか37%の個体でしか維管束連絡はみられなかった.2. 接ぎ木後15及び30日目の個体では75%, 90日目の健全株では90%の割合で穂木と台木の維管束切断面が合致し, それらのほとんどで維管束は連絡していた. 一方, 15及び30日目の個体の25%及び90日目の“白ボケ”株の80%では維管束切断面の合致がみられず, それらの多くで維管束は連絡していなかった.3. 穂木と台木の中心柱横断面の大きさが極端に異なり, 両横断面の中心が重なる組み合わせが, 15及び30日目の個体で25%, 90日目の“白ボケ”株では80%あり, それらのすべてで維管束切断面はずれていた. 一方, 他のいずれの場合にも, 中心柱横断面の大きさが極端に異なり, 中心が重なる組み合わせは見られず, 維管束切断面は合致していた.以上の結果から, 中心柱横断面の大きさが極端に異なる穂木と台木が両横断面の中心が重なるように接がれると維管束切断面がずれ, その結果, 維管束連絡が妨げられて穂木が枯死するものと推測された.
- 園芸学会の論文