温室ブドウ"マスカット•オブ•アレキサンドリア"の萠芽と溢出液中の有機酸について
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概要
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ブドウ"マスカット•ナブ•アレキサンドリア"の芽期を中心に, 溢出液のpHの変動及びそれに含まれる右機酸含量の変化を調べた. 溢出液のpHは樹液流動開始期から, 萠芽期まで次第に低下し, 萠芽直前に最低値を示した. その後, 新梢の生長とともに徐々に上昇した, 一方, 溢出液中の有機酸はリンゴ酸と酒石酸で, それらの含量は樹液流動開始期に少なく, その後萠芽期まで徐々に増加したが, 新梢の生長とともに減少した.昼夜間1時間ごとに採取した溢出液のpHと有機酸含量との間にはおおむね相関関係が認められた. しかし3月中旬に夜間pHが急激に低下したにもかかわらず, 有機酸の著しい増加は認められなかった. 日没直後に石灰窒素やエスレルの散布処理, ならびに昼間アルミホイルによる地上の樹体全部の被覆処理を行い, 溢出液のpHや有機酸含量を調べた. その結果石灰窒素処理はpHに影響を与えないが, リンゴ酸含量は急に増加した. 一方エスレルや被覆処理はpHを著しく低下させたが, リンゴ酸含量は不変であった. またこれら3種の処理では, 酒石酸含量の変化はなかった.以上の結果から, 樹液流動開始期から芽期, さらに新梢生長期に至る溢出液のpHの急激な低下はリンゴ酸によるものでなく, それ以外の要因によるものと思われた. また昼夜間のリンゴ酸の変動は Bryophyllum やCrasula などのCAM植物とそれと似ていたが, 萠芽期以後その類似性は認められなかった.
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