蕃茄の倍數性に關する研究:第1報 倍數個體の稔性に就て
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概要
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蕃茄品種の倍數個體の結實性及び結果性に就て研究を行つた。その結果次の事が明になつた。1. 倍數個體の結果性は原種に比較して著るしく低く, 果實1個中の平均種子數は前者は10-30粒, 後者は100-170粒である。2. 倍數個體の結果性は愛知トマト, Burbank, Cooper's Globe 等の純系種は低く, Burbank×愛知, L. esculentum×L. pinpinellifolium の交配種は著るしく高い。3. 倍數個體の結果性は個體によつて著るしく異つて居る。4. 倍數個體の結果性は栽培時期によつて影響され, 春期及び秋期の低温時期は高く, 夏期の高温時期には低い。5. 倍數個體の結果數は東京に於ては7月中旬迄で決定され, 其の後は殆んど結果しない。原種は栽培期間中結果する。6. 倍數個體は月平均氣温25°C以下の時には結果するがそれ以上の氣温では全く結果したい。原種は月平均氣温28°C迄は結果する。7. 倍數個體の果實の大きさは原種より小さい。8. 倍數個體の細胞學的研究結果は栽培時期の如何を問はず花粉母細胞第1分裂中期に於て常に數個の4價染色體 (tetravalents) が有在して居る, 其の後の分裂は低温時期には正常であり, 高温時期には著るしく亂れて居る。9. 倍數個體の花粉の形態は高温時期に於ても75%正常であり花粉の發芽率は1.0molで39.9%である。原種の花粉は95.7%, 其の發芽率は0.5molで54.9%である。10. 倍數個體の種子は低温時期に採種したものは形も良く揃ひ其の發芽率は85-90%である。高温時期の種子は大小不揃ひで發芽率は Burbank×愛知では37.5%, Cooper's Globe では38%である。11. 高温時期の種子からは多數の異數個體 (heteroploid) が生ずる, 特に純系種には多い。此等の個體は發芽が遲れ成育も惡く矮性である。12. 倍數個體から正常個體の得られる%は Burbank×愛知 では 18.3%, Cooper's Globe では9%である, 秋期栽培に於ては85-90%である。
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