アブラナ科根こぶ病抵抗性系統の対抗植物としての効果
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概要
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アブラナ科の根こぶ病抵抗性系統の栽培による土壌中の根こぶ病菌菌密度の低減効果を検討した.1. 1980年秋に土壌 1ml 当たり5×106胞子濃度となるように汚染土壌を作成し, 春作にはアブラナ科の根こぶ病抵抗性系統罹病性系統又はアブラナ科以外の作物を, 秋作には罹病性系統を4年間にわたって栽培した.第2年目以降の秋作の罹病性系統の発病程度により, 春作系統の根こぶ病低減効果を調査するとともに, 4年間の栽培が終わった後に土壌を採集してハクサイの罹病性指標品種‘長交新あずま山東’をポット栽培し, その発病程度から土中の菌密度を推定した.2. 罹病性系統の連作区では毎年春, 秋作とも激しい根こぶ病の発病が認められた. また, 春作にホウレンソウを栽培した区では秋作の罹病性カブの発病はほとんど抑えられず, ソルゴーを栽培した区では発病を大きく抑制するには至らなかった.3. 春作に抵抗性のカブ又はケールを栽培した区では, 作付け2年目に既に秋作の罹病性カブの発病が著しく抑えられ, その後も年々発病は低下した. 特に抵抗性カブ栽培区での発病低下が著しかった.4. 4年間の栽培が終わった後の土壌中の菌密度は,罹病性系統連作区で5×106/ml以上, ソルゴー栽培区では5×105/ml程度また, 抵抗性のケールとカブの栽培区ではそれぞれ103〜104/ml及び5×103/ml以下と推定された.以上より, アブラナ科の抵抗性系統はそれ自身が根こぶ病に対して無発病であると同時に, 土壌中の本菌菌密度を積極的に低下させる効果を持つものと判断された.
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