キュウリ果実の発育における外与及び内生ジベレリンの促進作用
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概要
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抑制栽培で11〜12月に大型ガラス室内でM式水耕法により育成しているキュウリ(長日落合2号)の開花中の花に, 各種濃度(10〜1000ppm)のジベレリンA3(GA3)とジベレリンA4+7 (GA4+7) の溶液を処理すると果実の発育が促進される. この両ジベレリンの促進作用は, 濃度の増加に伴って強くなるが, GA4+7の促進作用はGA3のそれよりも強い. また, GA4とGA7 (0.2〜20ppm) の促進作用は殆んど同じ程度の強さであり, GA3よりも強い.半促成栽培で5月に同じ方法で育成した同品種の単為結果の果実の組織, 胎座組織と果肉における内生ジベレリンの消長を調査した. 各組織のアルコール抽出物を酢酸エチルで抽出し, 酸性と非酸性の層に分画した. それを薄層クロマトグラフィー (TLC) で展開して, イネテスト (短銀坊主) でジベレリン活性を調べた. いずれのTLCで3つの区分にジベレリン活性が認められるが, それは, GA3, GA4, GA7, GA9或はそれらの関連物質であると思われる. 両分画のジベレリンの総和量は, 開花4日後から急速に増加し, 12日目の胎座組織で, 1.2×10-2μg GA3当量/新鮮重 (g) に達し, この量は果肉の約9倍になる. この生理的活性のある内生ジベレリンの存在がキュウリの単為結果性を示す要因の一つであると推察される.
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