キュウリ果実の生長における各種サイトカイニンの促進作用
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概要
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大型ガラス室の, キュウリ (長日落合 2号) の抑制栽培 (9月上旬定植) では11〜12月, 開花後の子房すなわち果実の生長が著しく遅れるか, あるいは止り, “流れ果”になるものが多い. この時期に, 開花中の子房に各種のサイトカイニンの溶液を処理するとその生長が促進される. この促進作用の順位はN6-ベンジルアデニン(BA)が最も強く, 次いでN6-イソアミルアデニン(isoAm), △2-イソペンテニルアデニン (2iP), トランス-ゼアチン (t-Z) であり, シス-ゼアチン (c-Z) およびカイネチン(K)は最も弱い.抑制栽培の10月, 正常に生長している単為結果の果実における内生サイトカイニンの消長を調査した. 果実のアルコール抽出物から精製して得た塩基性の分画をペーパークラマトグラフィで展開してヒモゲイトウ幼苗のベタシアニン形成による, 検定法を用いてサイトカイニン活性を調べた. ゼアチンとその関連物質のサイトカイニンの全量は, 開花して4日後から著しく増加し, 果長および果重の生長と並行して増加する. キュウリ果実の初期生長に内生サイトカイニンは促進的な作用をしていると推察される.
- 園芸学会の論文