吸水処理によるワケギの休眠打破
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概要
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ワケギりん茎の休眠打破に及ぼす水の影響を明らかにするために,加圧および減圧下での吸水処理を行って吸水とほう芽の関係,吸水部位とその程度,肥厚葉と休眠の関係および吸水処理と呼吸量の関係について検討した.<BR>25および200kPaの圧力下における吸水処理でのりん茎の吸水率は,100kPa吸水処理に比べて高くなった.ほう芽までの日数は100kPa吸水処理に比べ25kPa吸水処理で26日,200kPa吸水処理で30日早くなった.また,りん茎の吸水率とほう芽までの日数の間には1%水準で有意な負の相関関係が認められた.<BR>25kPa吸水処理によるりん茎の主な吸水部位は肥厚葉であった.貯蔵葉でも外側の部分でわずかに吸水が認められたが,休眠打破との関係はなく,また,盤茎への吸水は認められなかった.<BR>りん茎の肥厚葉を剥離するとほう芽が早くなった.その効果は剥離程度が強いほど高く,すべての肥厚葉を剥離すると直ちにほう芽した.<BR>肥厚葉の呼吸活性は25kPa吸水処理区では処理後3日目までに急激に高まり,その後も高く維持された.一方,無処理区および100kPa吸水処理区でも呼吸活性がやや高くなったが,その水準は25kPaよりかなり低かった.また,盤茎の呼吸活性は,休眠中も高く維持されていた.<BR>以上のことから,ワケギりん茎を吸水処理すると主として肥厚葉に水が入ることによって肥厚葉で生理的変化が引き起こされ,休眠が打破されたものと結論された.
著者
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桂 直樹
農林水産省農業生物資源研究所
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長谷川 繁樹
広島県立農業試験場
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船越 建明
広島県立農業試験場
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吉岡 宏
農林水産省野菜•茶業試験場
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桂 直樹
農林水産省野菜•茶業試験場
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吉岡 宏
農林水産省野菜•茶業試験場
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