In vitroにおけるサトイモの球茎形成および圃場における培養球茎の生育特性
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概要
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サトイモ品種石川早生のin vitroでの球茎形成条件を検討した. また, 培養で得た球茎 (培養球茎) 株の露地栽培における生育特性を慣行栽培の球茎 (慣行球茎) 株と比較した. さらに培養球茎株の栽培条件と生育特性との関係を明らかにするため来歴の異なる4種の種芋について生育調査を行った.<BR>1.増殖した苗条をショ糖8%MS液体培地に移し30μmol•m-2•sec-1, 25°C条件下で40日間培養することによ殖径約10mm, 重さ約1gの球茎を持つ苗条を得ることができた.<BR>2.培養球茎を用いると特別な順化過程を経ることなく培養苗を植え出すことが可能と判断された, したがって従来の方法に比べて一度に大量のウイルスフリー種苗を供給することが可能となる.<BR>3.培養球茎 (球茎重1g) を用いた栽培では地上部や親芋が小型化するが可食部の収量は慣行球茎 (球茎重60g) 株と同程度となり植物体全体や全芋重に占める可食部の収量割合は高かった. また, 子芋も小型化し形状も良くなるため慣行球茎株に比べ大きさや形状の揃った芋が多数得られた.<BR>4.培養球茎株の地上部の生育は, 慣行球茎株, 慣行小球茎 (慣行球茎のうち小さい球茎) 株ならびに順化球茎 (培養球茎株の6葉期に乾燥処理を行い形成した球茎で球茎重は1.6g) 株より劣った. 子芋, 孫芋の着生数, 親芋の肥大は種芋の大きさによる影響が認められた.<BR>5.順化球茎株は慣行小球茎株に類似した生育特性を示した.<BR>6.以上のように培養球茎株は地上部の生育, 子芋の形状が慣行球茎株, 慣行小球茎株, 順化球茎株とは明らかに異なることから培養中の前歴が球茎や地上部の生育に影響を及ぼしていると推察された. 培養球茎はその特徴ある生育特性を生かすことができれば栽培用種芋として利用が考えられる.
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