トルコギキョウの実生苗と収穫後の側芽のロゼット化および抽だいに関する研究
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概要
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トルコギキョウの秋冬季の生産技術を確立することを目的として, 開花の早晩性の異なる品種を用いて,自然条件下におけるロゼット誘導時期と開花期を調べるとともに, 移植栽培と直播き栽培を比較して, 育苗,定植方法の違いがロゼット発生率に及ぼす影響を調査した. 次いで, 高温期に播種した株の生育様相を, 秋冬季の栽培条件との関係で検討した.<BR>また, 秋に一番花を開花させる二度切り栽培の可能性と, 一番花の生育期間中の温度と一番花収穫後の栽培温度が, 切り下株の側芽の生育に及ぼす影響について検討した.<BR>1.自然条件では, 6月下旬から8月下旬の高温期に播種すると高率にロゼット化した. 高温の影響が大きい時は株が完全にロゼット化したが, 小さい場合にはわずかに抽だいした後節問伸長を停止し, 抽だいに対する高温の影響の仕方は連続的であった.<BR>2.苗の生育は, 移植栽培に比べて直播き栽培の方が早く, 抽だい率もいずれの播種時期においても直播き栽培の方が高かった.<BR>3.7月10日から9月11日まで約20日間隔で播種して, 温度と日長を変えて栽培すると, ロゼット化した株は栽培温度が高いほど多くのロゼット葉を展開した後遅れて抽だいした. 最低夜温15°C, 10°Cで栽培すると一定期間経過後, 正常に抽だい, 開花した. 9月11日に播種した区はほとんどロゼット化せず, 高温, 長日条件で抽だいと開花が著しく促進された.<BR>4.極早生品種と晩生品種を6月23日に播種して栽培し, 11月に開花した16.1~27.5%の株を一番花として収穫した後, 切り下株に生じた芽を6~7月に二番花として収穫した. 一番花と二番花の節数比は2.4~3.0で, 極早生品種は晩生品種よりも小さく, 栽培環境による栄養生長量の変動が少なかった.<BR>5.切り下株に生じる側芽の生育は, 一番花の栽培期間中の温度の影響を受け, 実生がロゼット化を誘導される高温条件では切り下株の側芽も高率にロゼット化した. 高温の影響は栽培期間を通して認められ, 生育期の前半および後半に高温に遭遇すると, 切り下株の側芽の抽だいが抑制された.
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