テツポウユリの花芽分化について
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概要
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1. テツポウユリの花芽分化期については, 研究者によつてそれぞれ意見が異るので, その原因を確かめ, 正しい分化期を定めようとして, この實驗を行つた。2. 使用した球根は, 種子カ島産の青軸鐵砲百合で, 6寸球 (平均36瓦) を撰んだ。3. 横濱に於ける自然状態では, 3月12日には, 生長點が肥厚したと思われるものもあつたが, 未分化のものとの區別が明らかでなかつた。ところが, 10日後の3月22日には, 生長點の中央より稍々片寄つた位置に溝が入り, 生長點が2つとなつたものが35%あつた。この時期を分化初期 (花房の分化期) とすべきであつて, 從來, 生長點の肥厚程度によつて, 分化期を定めたところに多くの差違が生じたのである。4. 3月31日には, 第1花の外花被が形成され始めたが, この時期が即ち分化期であつて, 分化初期と分化期とは, 必ず觀察する必要があると思う。5. 分化期以後の發育は順調に進んだ。即ち, 4月10日には雄蕋の形成まで進み, 4月20日には雌蕋, 5月0日には花粉•胚珠の初期のものが觀察され, 6月18日より開花した。