蕃茄の花の發育に就て
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概要
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温床育苗の蕃茄アーリーピンクを用ひ, 花芽の分化發育を苗の發育と關聯して調査し, 次の結果を得た。1. 蕃茄に於ては花芽の分化は極めて早く, 播種後約1ヶ月にして第1花房の分化が認められる。此の場合の苗は未だ極めて幼少であり, 展開葉數4枚, 草丈7cmに過ぎなかつた。2. 第1花の分化後略々2〜3日毎に新しい花が分化し, 一方新しい生長點が伸長するが10數日後には再び新しい花房を生ずる。新花房の分化は前花房の末期の花の分化よりも早く行はれるので, 苗は休なく花芽を形成して行くことになる。3. 分化した花の發育は極めて早く; 約1ヶ月で開花するにいたる。殊に生殖細胞が認めれてからの發育は早く, 約12日で開花し, その間花の伸長も極めて速かである。4. 此の樣に花芽の分化が苗の幼少時より連續して行はれ, 常に最も環境その他の影響を受け易い分化初期や減數分裂期の花芽を藏し, 榮養生長も亦急速であることは, 育苗環境及その取扱に依つて着花數が相當に異つて來, 又花器の發育に影響して落花, 落蕾を招來するものがあらうと想像される。
- 園芸学会の論文