柚根寄接直後に於ける枳殼砧温州の生育に就て
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概要
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昭和14年枳殼砧3年生温州に柚根を寄接し, 1年半後に於ける樹冠並に根部に對する影響を調査した。其の結果は次の樣である。1. 柚根を寄接すると樹冠の重量成長は處理直後に於ても少しも害せられる事なく, 却つて間も無く主幹並に枝葉共増加し, 1年半後に20%餘増加した。2. 其の増加歩合は, 1年生の部分よりは2年生の部分に於て, 又2年生の部分よりも舊梢及主幹に於て明に増加の差を認めた。3. 1〜2年生枝葉では枝よりは葉に於て差が明であつた。4. 根部は此の期間内では接根區も枳殼根の發育を損ずる事なく, 標準と大差なく肥大し5. 以上の結果から見て一部に於て唱へられて居る樣に, 柚を根接する事に依つて枳殼砧の根を枯死させたり, 或は一時發育を停止する樣なことはないと考へられる。
- 園芸学会の論文