山城盆地中央部小泉川沖積低地の微地形分析 : 遺跡立地からみた地形形成過程と構造運動
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概要
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山城盆地桂川右岸の小泉川, 小畑川などの小河川は, いずれも中流域に沖積段丘 (完新世段丘), 下流域に扇状地を形成している。小泉川沿岸の地形分類図, 地質縦断面図を作製し, 中流域の段丘面と, 下流域の埋没地形面との対比を試みた。ここでは考古学遺跡の発掘調査資料によって, より精度の高い編年を行うことができた。小泉川流域には, 5段の段丘地形が存在する。河川縦断面形および考古資料等の検討から, 沖積段丘I面は縄文時代後期中葉以前に形成され, 古墳時代後期 (6世紀中葉)〜長岡京期 (784〜794 A. D.) にかけて段化したと考えられる。本面は, 下流域で沖積低地下に埋没する扇状地性砂礫層の上面 (第1礫層上面) もしくはその直上の細粒土層上面に連続する。第1礫層の下位約10mに埋没し, 更新統最上部に相当する第4礫層上面の縦断形および平面形から, 西南西-東北東に延びる推定大山崎・下植野断層が伏在するものとみられる。基盤および大阪層群相当層の撓曲, 礫層上位における扇状地性堆積物と後背湿地性細粒土の間欠的な堆積状況が把握され, 流域の地形形成過程において, 構造的な変位が作用したものと推定される。
- 東北地理学会の論文
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