還元糖とアミノ酸とのカッ変反応物が油脂の安定性に及ぼす影響について
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概要
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アミノ・カルボニル反応は食品においてその商品価値を左右する重要な因子となっている。近年この反応に関しての研究は非常に多く, それらの結果からアミノ・カルボニル反応は食品に対して色, かおり, 抗酸化性 の三つの面で大きく寄与していると考える。たとえばビスケット, クッキー, 米菓などの焼菓子においては, カッ色に焼けた色素なくしてはなりたたない食品であると同時に, カッ変化に伴って特有のかおり, さらに抗酸化性物質も生じてくる。<BR>加藤, 桜井らによればアミノ・カルボニル反応は図-1に示すように三つの段階からなっている。初期はアミノ基とカルボニル化合物が反応縮合してアマドリ転位を起こし, 中期においてはこれら縮合物が酸化, 脱水を受けながら離脱してアミノ化合物と3-デオキシオソンなどのオソン類を生ずる段階であり, さらに後期はカッ色色素メラノイジンの生成である。これら反応のうち, 初期, 中期段階は詳細に解明されてきたが, 終期はほとんど理解されていないのが現状である。このようにアミノ・カルボニル反応は複雑な経過をたどって進むが, 中間段階においての還元性物質の生成もこの反応系の著しい特徴となっている。<BR>カッ変反応物の抗酸化性についてはEvansらがアルドヘキソースと第二アミンとの反応物からアミノヘキソースレダクトン類を調製し, これら化合物の抗酸化性を報じ, 著者らも還元糖とアミノ酸とのカッ変反応物が油脂類の安定性に非常に効果のあることに着目してこれら物質の抗酸化性についての研究を数年来続けているが, このことを中心に記すことにする。
著者
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