英国企業年金政策の展開 : ―企業年金基金の健全性確保のための公的規制の概要―
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概要
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本稿は,英国の企業年金政策の展開を概観する。具体的には年金受給権保護のための公的規制の考察を目的とし,わが国への示唆を得るものである。英国の企業年金制度も,わが国と同様に設立が任意である。ゆえに労使間の合意と責任によって成立しているが,あわせて国家による規制がなされている。このことは年金受託者による不適切な資産管理によって基金が破綻し,司法裁判所による事後救済だけでは年金制度の維持・受給者の利益保護に不十分であったという,歴史的経験に学んだことに由来する。本稿で採り上げた英国の規制は受託者責任を前提としており,企業年金基金の健全性確保のための事前介入を制度化している。わが国の企業年金政策の方向性として英国の制度は参考になるものと評価できる。
- 日本保険学会の論文