下腿の間欠的空気圧迫法が血液透析中の末梢循環および全身の循環動態に及ぼす影響
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概要
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【目的】下肢の循環不全がひき起こす深部静脈血栓症の理学的予防法として用いられる間欠的空気圧迫法(IPC)は機械的圧迫により下肢からの静脈還流を増加させる.われわれは,下腿のIPCが血液透析(HD)中の末梢循環および全身の循環動態に及ぼす影響について検討した.【方法】末梢循環はパルスオキシメータの原理を応用した灌流指標(PI)を用いて下肢末梢で評価し,全身の循環動態は,連続的ヘマトクリット測定装置による循環血液量変化率(%ΔBV)と総蛋白濃縮度(%ΔCPV)を用いて評価した.同時に,IPCによる末梢循環の変化が溶質除去に及ぼす影響についてもクリアスペース率(CSR)およびKt/Vを用いて検討した.【結果】%ΔBVはHD開始から直線的に低下し,PIはHD開始60分以後経時的に低下した.IPCの施行により%ΔBVの低下はHD開始60分以後で有意に抑制され,PIの低下はHD開始180分以後で抑制される傾向にあった.また,HD中のPIの時間平均値と尿素窒素,クレアチニンのCSRとの間には有意な相関関係を認めたが,IPCによるCSRとKt/Vの上昇は認めなかった.【考察】HD中の末梢循環の改善は全身の循環動態に影響を及ぼすが,溶質除去については有意な改善がみられない.HD中における下腿のIPCは,末梢循環を改善し循環血液量の低下を抑制することで全身の循環動態を安定させるものと考えられた.
著者
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福島 正樹
倉敷中央病院腎臓内科
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安藤 誠
倉敷中央病院CEサービス室透析センターグループ
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前島 愛子
倉敷中央病院CEサービス室透析センターグループ
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角田 朋美
倉敷中央病院CEサービス室透析センターグループ
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辻田 知圭子
倉敷中央病院CEサービス室透析センターグループ
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藤井 佑希
倉敷中央病院CEサービス室透析センターグループ
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