高齢者心房細動における抗凝固・抗血小板療法の実際
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概要
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非弁膜症性心房細動(NVAF)における脳梗塞予防には,脳梗塞発症のリスク評価と適切な抗血栓療法が重要である.NVAFにおける脳梗塞発症のリスク評価法としてCHADS2スコア(うっ血性心不全,高血圧,年齢75歳以上,糖尿病を各1点,脳梗塞や一過性脳虚血発作の既往を2点として合算する.最大6点)が用いられ,2点以上でワルファリン療法が推奨される.PT-INRの強度は70歳未満では2.0〜3.0,70歳以上では1.6〜2.6とする.発作性心房細動も持続性心房細動と同様に抗凝固療法の適応を考慮する.高齢であるという理由のみでは抗凝固療法の禁忌とはならない.ただし,家族の援助を考慮に入れても内服管理能力がない,転倒のリスクが高い,管理不可能なてんかん発作を有する,活動性の出血性疾患を有するなどの場合は抗凝固療法を行うことは困難である.抗血小板療法はワルファリン療法禁忌時の次善の策であり,心原性脳塞栓症の予防効果を有さないが,非心原性脳梗塞の予防にはある程度の効果が期待される.抗凝固療法中の重篤な出血性合併症でPT-INRの早急な是正が必要な場合は,第IX因子複合体の投与を考慮する.現在,ワルファリンに代わる経口抗凝固薬として抗トロンビン薬と抗Xa薬の開発が進められ,一部は承認を得ている.
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