ICTラウンドによるteicoplanin適正使用への取り組みに関する評価

概要

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2007年4月に日本化学療法学会と日本感染症学会の共同で「抗MRSA薬使用の手引き」1)が作成された．この手引きには，塩酸バンコマイシン，teicoplanin(TEIC)，硫酸アルベカシンは治療薬物モニタリング(TDM)が必要な抗菌薬であることが示されている．しかし，当院においてTEICのTDM実施率は著しく低いものであった．感染制御チーム(ICT)はTEICが適正使用されていない注意薬品であると考えた．2007年4月からICTは，抗MRSA薬の適正使用を目的に抗MRSA薬使用患者巡回介入(ICTラウンド)を開始した．ICTラウンドでは，TEICは治療効果を得るために負荷投与(LD)実施率向上とTDM実施率向上を目標に取り組んだ．同時に，副作用モニタリングは腎機能と肝機能への影響を観察した．ICTラウンドの効果を評価するために開始前と開始後を比較検討した．平均治療期間は16.4日から9.7日に減少した．LD実施率は46.2%から100.0%になった．TDM実施率は30.8%から76.5%に向上した．平均血中濃度は8.7 μg/mLから14.5 μg/mLに向上した．2008年度は肝機能グレード2以上の症例を防ぐことができた．ICTラウンドは，TEICの有効性と安全性を積極的に守り，適正使用に効果的に機能しているものと考えられた．