バルビタール長期経口投与によるB6C3F1マウスの肝腫瘍自然発生の促進
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概要
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バルビタールは抗痙攣薬あるいは鎮静, 催眠薬として広く用いられてきた。しかし最近 Gold らは疫学的研究に基づき, 小児脳腫瘍の発生原因として妊娠期間中のバルビタール系薬物使用の関与を疑っている。また石館および小田嶋は, バルビタールがチャイニーズハムスターの胎仔肺培養細胞に染色体異常を誘発させることを見出した。このような現状に鑑み, バルビタールの癌原性の有無を検定する目的で本研究を行った。バルビタールの最大耐量0.5%含有飼料を雌雄の (C57BL/6×C3H/He) F1マウスに自由に摂取させ60∼120週間飼育観察した。その間の飼料摂取状況, 死亡率, 腫瘍発生率, 腫瘍発生期間および発生腫瘍の病理組織像などを検索した。飼料摂取量は投与群と対照群の間において雌雄共に差異を認めなかった。投与群雄の死亡率は40週以降において対照群に比しやや増加したが、雌には両群で差がなかった。腺腫および肝細胞癌を含む肝腫瘍の発生率は対照群雌3%, 雄19%であったのに対し、投与群雌50%, 雄57%で, バルビタール投与群により高率な発生が認められた。肝腫瘍の22%は肝細胞癌であったが, 他臓器への転移は認められなかった。その他の腫瘍発生について多発傾向は認められなかった。以上の長期経口投与実験の結果から, バルビタールそのものは癌原性を持たないが, マウス肝腫瘍の自然発生を促進させることが明らかとなった。
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