ミトコンドリアの酸化的燐酸化システムに関する研究 : II. 諸種有機水銀化合物, 及び重金属のラット肝臓ミトコンドリアへの影響についての in vitro での研究
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概要
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有機水銀化合物 (メチル, エチル, プロピル, ブチル, フェニル水銀), および重金属 (Hg++, Pb++, Cd++, Cu++, Zn++, Co++, Ni++) のラット肝臓ミトコンドリアの酸化的燐酸化機能に及ぼす影響について in vitro での研究を行った。これらの有機水銀, 重金属はいづれも10-6∼10-5Mの低濃度でミトコンドリア機能を阻害する。実験に供された有機水銀化合物のうち, メチル水銀は特異な作用を示した。すなわちメチル水銀濃度がある濃度になると呼吸活性は回復し, 一方燐酸化は著しく阻害された。この濃度以下あるいは以上で, メチル水銀は呼吸, ATP合成共に阻害した。ある濃度範囲では有機水銀化合物, および重金属は脱共役作用, ATP加水分解の促進, それらの結果としてAMPの生成等, 基本的には同じような影響を及ぼすことが解った。しかし, 同様な現象が, 比較のために行った脱共役剤としてよく知られている2,4-dinitrophenol (DNP) を用いた実験に於いても観察された。本研究に供された異質の物質, 有機水銀化合物, 重金属, DNPがいづれもP/O比を低下させるように作用する時, 及びATP加水分解を促進する時に, AMPの生成が促進されることは注目すべき事実である。AMP生成の機構に関しては不明であるが, ADP〓AMP反応がミトコンドリアの酸化的燐酸化反応に何らかの重要な役割を果たしていることが示唆された。
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