重金属 (Pb, Cd, Zn) 投与ラットの肝・腎細胞内におけるその局在について
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概要
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生後10週の Wistar 系雄ラット30匹を6群に分け, 酢酸鉛 (Pbとして40および10ppm), 塩化カドミウム (Cdとして300および50ppm), または硫酸亜鉛 (Znとして1,000および500ppm) の各水溶液を3カ月ないし6カ月間飲用させ, 比較的高濃度の各重金属を6カ月間与えたラットのうち1匹に屠殺3日前にBAL (10mg/rat) を筋注した。電顕像の上でこれら重金属の存在部位を確認する方法としては, Timm の硫化銀法を電顕的組織化学に応用した方法を用いた。なお, 各同一臓器より5個以上のブロックにつき電顕により詳細に観察し, 対照群と比較して検討した。重金属を与えたラット肝細胞では, 銀粒子は主としてライソゾームと毛細胆管内もしくはその周辺にみられた。また一部のミトコンドリアには通常より大きい dense な顆粒が出現したが, この顆粒に一致して銀粒子の存在が認められた。Kupffer 細胞内では主として Autophagic Vacuole 内にその存在が確認された。一方腎組織では, 近位尿細管上及細胞中にのみ選択的にみられ, その基底膜嵌入部のほかライソゾームや Apical Vacuole 内に認められた。BAL投与ラットの肝および腎組織ではいずれも非投与例に比し, これら重金属の局在部位を示す銀粒子の存在は明らかに減少していた。
- 日本衛生学会の論文